今回は、後遺障害事例における「慰謝料の増額」をテーマとして、裁判例をご紹介します。
【裁判例】東京地裁平成6年1月25日判決・交民27巻1号113頁
住宅街の道路右側路側帯を歩行中の被害者(女性、症状固定時27才)が、後方から加害車両に衝突され電柱との間に挟まれたことで、右大腿部から右膝にかけての神経損傷による疼痛・放散痛(後遺障害等級12級12号)及び醜状痕(後遺障害等級12級)、右膝関節機能障害等の傷害を負った事案において、加害者が酒気帯び運転であったこと、酒気帯び運転については刑事裁判で有罪が確定しているのに本件裁判では否認し、また加害者が刑事裁判では治療費は全額支払うと述べたのに、被害者の父親が示談書に押印しなかったため治療の支払いを打ち切ったこと、事故によって被害者の結婚も破談となったこと等の事情を考慮し、傷害慰謝料として550万円(治療期間2年8ヶ月・入院日数186日、通院実日数62日)、後遺障害慰謝料として350万円が認められました。
本事案では、裁判基準で算定される標準的な慰謝料額から、約25%程度の増額が認められた事案といえるかと思います(「後遺症を負った場合に請求できる損害賠償」、「後遺障害等級と慰謝料」等のページもご参照下さい。)。
各事案によって事情は様々であり、どのような事情を取り上げるべきかは適切な検討を要しますが、本事案のように、加害者側の対応等により、増額が認められるケースも少なからずあります。当サイトでは無料相談が可能ですので、是非お気軽にご相談下さい。
弁護士 柳田 清史