「間接損害とは?」

 さて、今回は、交通事故によって直接の被害者となった方以外の第三者が、被害者本人の事故による受傷によって損害を被った場合の問題について説明したいと思います。
 この問題は、間接損害や企業損害という呼ばれ方をされており、この点に関連する判例として、最高裁昭和43年11月15日判決があります。この判決は間接損害の一般論について言及しているわけではないのですが、その後の下級審判決の判断要素において、前記最高裁が判示した要素が用いられる傾向にあります。具体的には、①代表者への実権集中、②代表者への非代替性、③会社と代表者との経済的一体性という前記最高裁が判示した要素に基づき、これが肯定される場合には間接損害を認める状況にあります。
 例えば、こ間接損害(企業損害)を肯定した下級審裁判例としては、機械設備業務を営む会社が、代表者が受傷して休業したことに伴い、その会社が受注していた工事を外注し、外注費の損害賠償を求めたケースがあります(名古屋地裁平成19年10月26日判決)。この事案は、取締役は代表者とその母親のみで、他に従業員はおらず、機械設備に関する主要な業務は主として代表者が行っていたという事案でした。
 このような会社と代表者との間に経済的一体性が認められる事案では、会社から加害者に対する賠償請求が肯定されるケースもありますので、一度弁護士に相談してみることが大切です。

弁護士 疋田 優

 

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